セッション第二節  男性原理と女性原理

ーーーマヤ様、あなたは女性ですが、性別というものは、本来、生殖に由来する機能であるのではないでしょうか。つまり生物学的な機能であるわけですが、霊界にも、そういったものが、現世と同様、あるという理解でもよろしいのでしょうか。
「生殖行為は物質の形態生成に由来する機能です。物質世界を経綸する自然法則により与えられたものです。霊的世界には物質性はありません。一方、女性は霊的摂理に由来するものです。それは人間原理と呼ばれています。人間原理は女性原理と男性原理により構成されています。それ故、女性の中にも男性的資質が見て取れます。同じように男性の中には女性的資質が見て取れるわけです。女性か男性かの違いは個性の違いと同等です。人格とは個性的実在のことです。それが魂と呼ばれているものです」


ーーーそれは、つまり、女性とか男性とかいうのは、肉体的なものではなく、精神的なものであるということになるのでしょうか。
「精神は肉体と一体的なものです。女性が男性に生まれてくることはありません。精神は魂の地上世界における表象です。魂の一面を表現しているにすぎません。人の魂が人間原理です。その中の男性的人格が男性に女性的人格が女性に地上世界に生を受けるという解釈もできますが、魂には本来、性別はないのです。わたくしマヤという人格的存在も、わたくし本来の魂の一面を表現している存在と言えます。人の魂は輪廻転生により、様々な次元世界で生活経験を重ねながら、進化してゆく存在です。転生するごとに、違う人格を身に付けてゆきます。わたくしマヤも、一個の人格的存在でありますが、自らの魂から、その恩恵を受けています」


ーーーその恩恵というのは過去生における人生経験ということになるわけですね。
「そうです。その恩恵とは人格の成長のことです。転生は、霊的世界から地上世界の各次元だけでなく、霊的世界の別の次元で経験を重ねることも意味しています。魂は自らにある個性的実在の成長にあった世界に惹かれてゆくものなのです」


ーーーよく過去生を記憶しているという霊能者の話などを聞くことがありますが、それについてはどう思われますか。
「わたくしは、そのような証言には関心は持ちたくありません。悪意とまでは言いたくありませんが、関わりたくない思いがいたします。詳しいことについてあれこれと思いを巡らす気にもなれません。わたくしマヤは過去生の存在を認めていますが、過去生の記憶はありません。ないものを、そもそも思い出せるわけもないわけです。それは必要がないからなのでしょう。一個の人格的存在は魂の一部です。魂から分離しているのではありません。魂レベルでの経験のエッセンスは恩恵として共有されているものなのです」


ーーーしかし、魂レベルではなく、マヤ様ご自身の地上世界における人生経験の記憶までは失っていないのではないのですか。
「それについては、あなた方と同様です。思い出せるものもあれば、思い出せなくなっているものもあります。わたくしの魂のレベルでは鮮明な記憶が残されています。必要に応じて活用することはありますが、機会は少ないです」


ーーーマヤ様ご自身は、今後、地上世界に再生されて、さらに人生経験を重ねてゆくような計画はお有りになりますか。
「わたくしマヤという一個の人格的存在が地上世界に再生するようなことはありません。魂のレベルではありましょうけど。わたくし自身の計画なら、あなた方が人生プランを立てるのと同様です。わたくしたちにも仕事も学習の場もありますから」


ーーーしかし、あなた様が永久に現在の霊界での生活を続けてゆくようには思えませんのですが。
「霊的世界にも成長はあります。その成長に応じて、生活の場は変化してゆきます。霊的世界の高次の世界に再生することが、わたくしマヤの最高の希望なのです。そこは至福の光に溢れた世界なのです」


ーーー冒頭、ご説明いただきました女性原理と男性原理について、具体的にお願いしたいと思います。
「人間原理とは女性原理と男性原理の両性を象徴する概念です。その本性が愛と呼ばれているものです。愛は自然界を司る根源的原理でもあるのです。この宇宙を経綸するところの原動の源は神に始まりますが、それを愛と呼び換えることもできます。すなわち愛は神を表現しています。女性原理の本性が受容と育みです。対称する男性原理の本性が導きと守護です。両性は寛容によって結ばれています。いずれも、愛の働きの一面の表象です。愛は、この宇宙に遍在するものです。それ故、あなた方の身体の内側にも外側にも愛の働きがあります。わたくしも、あなた方も愛なくして存在することはできません」


ーーー地上世界における男女の役割においても、それらの原理が働いているといえるわけですね。
「そう言ってもかまいませんが、女性の中には男性的資質が、そして男性の中には女性的資質が内在していることも、よく認識していただかなければなりません。両性の協力は、互いが足らざるを補うという単純なものではないのです。もとより両性に優劣の違いなどはありません。もし男女間には優劣があると、言われるなら、それは神の行いを侮辱しているのに等しいことです」


ーーー男女間の恋愛について見解を御示しいただけますでしょうか。
「恋愛は生殖機能と連携した男女間の精神的行為といえるものです。それは生命の霊的世界から地上世界への再生に貢献するものです」


ーーー同性愛や児童性愛など正常といえないものについては、どう対応するのが正しいと言えますでしょうか。
「未熟な性愛と言えるものは人間精神の不完全性の一面を現わしているものです。それらを、どう受け止め、どう行動するかで、あなた方は人として試されてもいるのです。未熟な性愛は男女間にも見られます。それら性愛は、あなた方、地上世界の精神に程度の差こそあれ、等しく内在しているものでもあるのです。人格を傷つけるような行動に出れば、それ相応の報いを受けることになることは、よく自覚なさってください」


ーーー結婚については、どのような見解をお持ちになりますでしょうか。
「男女両性の人格の自由性を妨げるような結婚制度であるのなら、ない方が良いくらいだと思っています。自由性は本来、魂に備わるものです。備わるものには目的が与えられています。それが幸福の追求です」